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大将の戒めに学ぶ【組織マネジメント】
目次
「大将の戒め」に学ぶ — 中小企業の信頼と組織力を高めるために
はじめに ― “大将の戒め” とは
“あらゆる報酬よりも、家来の命と忠誠を守る義務がある” ― この覚悟を持ったリーダーこそが、真に組織を束ね、未来を切り開ける。
400年以上前、戦国の乱世を生き抜き、江戸幕府の礎を築いた徳川家康が残した言葉に、現代の経営者が学ぶべき教えがある。
大将の戒め
大将というものは、
敬われているようで、
その実、家来に落ち度を探られているものだ。
恐れられているようで、
その実、侮られているものだ。
親しまれているようで、
その実、疎まれているものだ。
好かれているようで、
その実、憎まれているものだ。
大将というものは、
絶えず勉強しなければならぬし、
礼儀もわきまえていなければならぬ。
その上で、よい家来を持とうと思うなら、
わが食を減らしてでも
家来にひもじい思いをさせるな。
自分ひとりでは何もできぬ。
家来とは禄(ろく)で繋いではならず、
機嫌を取ってはならず、
遠ざけれはならず、近づけではならず、
怒らせてはならず、油断させてはならぬものだ
「では、どうすればいいのか?」
家来は惚れさせねばならぬものよ。
このブログでは、この「大将の戒め」を現代の中小企業に当てはめ、多様性と変化の激しい経営環境の中で「人に厚く、人に頼れる会社」を築くための実践的マネジメント論を展開する。
家康の戒めを現代経営に当てはめる — 5つの原則
① 社長は常に“社員の目”にさらされていると自覚せよ
家康は言った――「大将というものは敬われているようで、その実、絶えず家来に落ち度を探られているものじゃ」。
この言葉が示すように、経営者の何気ない言動、判断、態度――すべてが社員の目に届いている。
特に中小企業ならなおさらだ。顔と名前が一致し、日常のやりとりが近い。
だからこそ、社長は「自分はどう見られているか」を常に気にせよ。
言動に一貫性を持て。公平性を徹底せよ。透明性のある経営を実践せよ。
それが、社員の安心と信頼を生む土台となる。
② 表向きの親しみと、裏にある尊敬は別物と理解せよ
家康はこう言った――「恐れられているようで侮られ、親しまれているようで疎まれ、好かれているようで憎まれているものじゃ」。
人間関係は複雑だ。ときに、部下の本音は表面的な言葉とは異なる。
社長はその曖昧さを恐れず、裏表のある関係性を理解し、冷静に受け止めよ。
そして、親しみやすさだけではなく、尊敬と信頼を伴う関係を築け。
社員の意見を尊重しながらも、明確な線引きを示す。
甘やかすのではなく、公平に接し、時には厳しさをもって導け。
③ 自ら絶えず学び、礼を尽くせ
家康は語った――「絶えず勉強せねばならぬし、礼儀もわきまえねばならぬ」。
経営環境は日々変化する。技術革新、法制度、働き方、価値観――。
過去の成功体験や慣習に安住すれば、会社はすぐに古びる。
社長自ら、新しい知識を取り入れ、学び続けよ。
業界セミナー、異業種交流、書籍、研修――。インプットを怠るな。
同時に、礼節やマナーを軽んじるな。
それは単なる形式ではない。相手への尊敬の証であり、信頼関係の礎となる。
④ 社員の待遇と環境を、自らの優先順位に置け
家康は言う――「よい家来を持とうと思うなら、わが食を減らしても家来にひもじい思いをさせてはならぬ」。
つまり、会社の利益優先ではなく、社員の生活と安心を第一に考えよ、ということだ。
中小企業にとって人材こそが最大の財産。
そのために、競争力のある報酬体系、安定した労働環境、キャリア支援、福利厚生――。
社長自らが「社員第一」の覚悟を持つこと。
それが、社員の忠誠心と定着率、パフォーマンスを高める。
⑤ 組織は「強制」ではなく「惚れ」でまとめよ
家康は締めくくった――「家来は惚れさせねばならぬものよ」。
つまり、ルールや命令だけで社員を縛るのではなく、
社長のビジョンと姿勢に共鳴させ、惚れ込ませよ、ということだ。
そのためには、会社のミッション・ビジョンを明示し、社員と共有せよ。
成果と努力を公正に評価し、成長や挑戦の機会を与えよ。
ワークライフバランスを尊重し、働きやすさと安心を提供せよ。
強制ではなく共感。尊敬でもなく「惚れ」。
この文化こそが、小さな会社を大きな組織に成長させる土壌となる。
なぜ「昔の武将の言葉」が中小企業に刺さるのか
・経営とは、人間関係の集合体。人を動かすのは論理より感情。
・古の教えには、長年の人間観察と経験が凝縮されている。
・特に家康の言葉には、時代や文化を超えて通用する人間の本質がある。
組織、階層、忠誠、信頼、権威――。
これらを安定化させるための普遍的な原則は、戦国時代も、現代のビジネス社会も変わらない。
だからこそ、400 年以上前の「大将の戒め」は、今なお中小企業の社長にとって、最もリアルで実践的なマネジメント教科書になる。
実践の手引き ― 社員が“社長に惚れる”3つのルールづくり
① 明確なルールを示す
社員は、何を守り、何を基準に仕事をすればよいのかが曖昧だと、安心して力を発揮できない。できるだけ曖昧さを排除し、解釈の余地を最小限に抑えることが重要。
だからこそ、社長がまずやるべきは 「会社としての明確なルールを定めること」である。
・仕事の進め方
・守るべき基準
・判断の優先順位
・お客様への対応方針
・働き方のルール
これらを明確に示すことで、社員は迷わず働ける。
家康の時代も同じで、武将が兵に示した“軍令”が明確であるほど、組織は強くまとまった。
ルールは「縛るためのもの」ではなく、社員が力を発揮するための土台である。
② 社長自身が決めたルールを率先して守る
家康は「大将は絶えず家来に落ち度を探られるものだ」と言った。
これは現代の経営にもそのまま当てはまる。
社長が決めたルールを破れば、社員は瞬時にそれを察する。
どれだけ立派な理念を掲げても、ルールを守らない社長に惚れる社員はいない。
・時間の使い方
・報連相
・言葉遣い
・顧客対応
・約束の履行
それらを守る姿を“誰よりも、誰よりも徹底して”見せる。
「社長が守るから社員も守る」
これが、組織の秩序と信頼の根源である。
ルールを守る姿勢そのものが、社員を惚れさせる最大の“説得力”になる。
③ ルールを定期的に見直し、改善する
良い会社とは、ルールを守り続ける会社ではなく、ルールを進化させ続ける会社である。
市場も顧客も働き方も、日々変化する。
だから、過去のルールが最適とは限らない。
・現場からの意見を吸い上げる
・時代の変化に合わせて改善する
・不要なルールは捨てる
・新しいルールを取り入れる
定期的な見直しと改善によって、会社のルールは“生きた指針”になる。
家康が天下を取れたのは、武断から文治へと移行し、状況に合わせて統治の仕組みを変え続けたからである。
現代の経営者も同じく、変化に合わせてルールの最適化を続けるべきである。
社員に惚れられる社長は、カリスマ性よりも“姿勢の一貫性”を持つ。
① 明確なルールを示し
② 自ら率先して守り
③ 継続的に改善する
この3つが揃ったとき、組織には一体感が生まれ、信頼が育ち、社員は社長に惚れる。
そして、惚れられた社長の会社は、強く、しぶとく、長く続く。
まとめ ― 今こそ“武将の覚悟”を経営に
古の武将が抱えていた悩み、葛藤、人間関係――。
それは、現代の経営者にもまったく同じ。
だからこそ、300年以上も語り継がれてきた “大将の戒め” は、
中小企業の社長にとって最高の“道しるべ”となる。
成功や利益だけを追うのではなく、
社員を惚れさせ、信頼し、任せる――。
その覚悟を持つ者にのみ、強く、しぶとく、生き残る力が宿る。
あなたが今、会社の舵を取るリーダーなら――。
この言葉を胸に刻み、武将の覚悟で、未来を築け。


