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- 塾長コラム
TOCとは何か?「頑張る会社」より「流れる会社」をつくる
目次
「社員は頑張っているのに、なぜか会社全体の成果が上がらない」
経営をしていると、こんなことがあります。
営業は頑張っている。
現場も忙しい。
社員も一生懸命働いている。
それでも、
仕事が溜まる。
納期が遅れる。
利益が思うように残らない。
こういう会社ほど、一度考えてほしいことがあります。
本当に、頑張る場所はそこで合っているのか?
6月の100年塾で、「TOC研修」を実施しました。
TOCとは「Theory of Constraints」の略で、日本語では「制約理論」と呼ばれます。
難しく聞こえますが、考え方はシンプルです。
会社全体の成果は、一番の制約=ボトルネックによって決まる。
という考え方です。
全部を良くしても、会社は良くならない
例えば、5つの工程があります。
100 → 100 → 50 → 100 → 100
1時間に処理できる量だと思ってください。

この場合、会社全体の流れを止めているのは「50」の工程です。
ほかの100を120にしても、50が変わらなければ全体はほとんど変わりません。
むしろ50の手前に仕事が溜まります。
これが「ボトルネック」です。
会社でも同じです。
営業だけ頑張る。
製造だけ効率化する。
一人ひとりの生産性だけ上げる。
それぞれは間違っていません。

でも、会社全体を止めている場所を改善しなければ、成果にはつながりにくい。
TOCでは「全部を良くしよう」とは考えません。
まず、
今、会社全体を一番止めているものは何か?
ここを見ます。
研修で変わったのは「頑張り方」ではなく「見る場所」
今回の研修で印象的だったのが、受講後のアンケートです。
ある経営者から、
「頑張れば成果が出せると勘違いしていることに気づいた」
という回答がありました。
そして研修後は、
一つひとつの工程時間を計測する
本当のボトルネックを見つける
幹部とボトルネックを共有する
という具体的な行動まで決めています。
ここが大事です。
研修を受けて「勉強になった」で終わるのではなく、
感覚で判断する経営から、計測して判断する経営へ変わり始めている。
これが今回の研修で見えた一つの成果です。
「売上順」ではなく「粗利(MQ)順」で見る
別の受講者からは、
「売上順ではなく、粗利(MQ)順で並べ替えてみる」
という気づきがありました。
売上が大きい商品が、必ずしも会社全体に最も貢献しているとは限りません。
大事なのは、
限られた人、時間、設備を、どこに使えば会社全体の成果が上がるのか。
です。
売上だけを見るのではなく、粗利やお金の流れを見る。

これもTOCを学んだことで生まれた判断基準の変化です。
「できる人」が会社を止めることもある
ボトルネックは、機械だけではありません。
中小企業では「人」がボトルネックになることも多いです。
「あの人に聞けば分かる」
「あの人に任せた方が早い」
最初はそれでいい。
でも、それを続けると仕事が一人に集まります。
判断も集まる。
周りが待つ。
その人が休めば仕事が止まる。

場合によっては、社長自身がボトルネックになります。
本人の能力が低いわけではありません。
仕事の流れの問題です。
今回のアンケートには、こんな言葉もありました。
「できる人が抱える会社は止まる。できる人が流す会社は伸びる」
まさにその通りだと思います。
社長だけが分かっていても意味がない
今回、「社員や幹部と一緒にTOCを学びたい」という回答も複数ありました。
これは非常に重要です。
社長だけが、「ここがボトルネックだ」
と見つけ続けていたら、結局また社長依存になります。
理想は、社員自身が、
「ここで仕事が止まっています」
と気づけること。
幹部が、
「自分の部署ではなく、会社全体で見るとここを直すべきです」
と言えることです。
TOCを共通言語にする。
そうすると、
「社長が会社を改善する組織」から「社員が自ら改善する組織」へ変わっていきます。

TOCで目指すのは「もっと頑張る会社」ではない
今回の研修後には、
ボトルネックを可視化する
工程時間を計測する
粗利(MQ)順で見る
まとめ生産を見直す
在庫や使っていない資産を確認する
といった具体的な行動が挙がりました。
もちろん、これによって実際に利益がいくら増えたのか、在庫がいくら減ったのか。
そこまでの結果が出るのはこれからです。
でも、経営者の「見る場所」は明らかに変わっています。
全部を頑張るのではない。
一番の制約を見つけ、そこに集中する。
改善したら、また会社全体を見る。
TOCで目指すのは、
「もっと頑張る会社」ではありません。
「もっと流れる会社」です。
会社を良くしたいと思っている社長ほど、あれもこれもやろうとします。
売上も上げたい。
社員も育てたい。
採用もしたい。
現場も良くしたい。
僕もそうでした。
だから、一生懸命やっているのに結果が出ないと、
社員が悪いのか、自分の努力が足りないのかと考えてしまうこともあります。
でも、もっと頑張る前に、一度だけ立ち止まって会社全体を見てみてください。
「今、うちの会社はどこで止まっているんだろう?」
その場所が見つかれば、やるべきことはずっと分かりやすくなります。
そして、その答えを社長一人で探し続ける必要もありません。
幹部や社員と一緒に考えて、計測して、改善していく。
社員から、
「社長、次はここを改善した方がいいと思います」
そんな言葉が出てくる会社になったら、強いですよね。
僕は、100年続く会社というのは、社長一人が頑張り続ける会社ではないと思っています。
社員一人ひとりが会社を良くすることを考え、自分たちで改善を続けられる会社。
TOCも、そのための一つの考え方です。
難しいことから始めなくて大丈夫です。
まずは皆さんの会社で、
「一番仕事が溜まっているところはどこだろう?」
そこを社員さんと一緒に探すところから始めてみてください。
小さな気づきでも、そこから会社の流れは変わっていきます。
「知っている」ではなく、「やっている」。
今回参加してくださった皆さんが、
研修での気づきをそれぞれの会社に持ち帰り、どんな変化をつくっていくのか。
僕も楽しみにしています。


