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- 経営を強くする
経営が苦しい時ほど、新規事業に手を出してはいけない理由
目次
会社の業績が思わしくない時、経営者の頭にはよくこんな考えがよぎります。
「この状況を打破するために、何か新しいことを始めよう」
気持ちはとてもよくわかります。
しかし、経営の現場を数多く見てきた立場から率直にお伝えすると、
苦しい時の新規事業は、多くの場合さらに会社の体力を奪う結果になります。
誤解しないでいただきたいのは、
「新規事業そのものが悪い」わけではないということです。
問題は、体力が落ちているタイミングでそれをやってしまうことにあります。
今回は、その理由を整理しながら、苦しい時に本当にやるべきことをお伝えします。
1. 新規事業は、利益が出るまでに時間がかかる
新規事業は、売上より先に投資が発生します。
人件費
広告費
設備投資
開発費
これらの先行投資は、資金繰りが苦しい会社にとって、まさに命取りになりかねません。
2. そもそも成功確率が低い
新規事業は「未知」への挑戦です。
顧客も、価格も、売り方も、すべてが仮説にすぎません。
成功するまでには、何度も改善を重ねる必要があります。
体力のある会社ならまだしも、
余力のない会社がこの試行錯誤に耐えられるかは疑問です。
3. 社長の時間が分散してしまう
中小企業にとって最大の経営資源は、社長自身の時間です。
新規事業に時間を割けば、その分だけ本業を見る時間は確実に減ります。
結果として、本業まで悪化するケースは珍しくありません。
4. エース社員が新規事業に引き抜かれる
新規事業には、つい優秀な社員を投入したくなるものです。
しかしその結果、本業の売上や品質が下がってしまう。
「新しい柱を作るつもりが、既存の柱が細くなる」という本末転倒が起こります。
5. キャッシュフローが悪化する
新規事業は、利益よりも先にお金が出ていきます。
赤字事業が一つ増えるだけで、資金繰りは一気に苦しくなります。
中小企業にとっては、「利益」以上に「現金」こそが命です。
既存事業には、すでに強みが眠っている
一方で、今の本業にはすでに次のような資産があります。
顧客
実績
ノウハウ
信頼
ゼロから新しく何かを始めるより、すでにある強みを磨き込むほうが、
はるかに利益率は高くなりやすいのです。
小さな改善は、リスクが低く利益が大きい
たとえば、次のような取り組みです。
値上げ
リピート率の向上
紹介の強化
原価の改善
業務効率化
これだけで、利益が何倍にもなる会社は決して珍しくありません。
利益は「売上」より「磨き込み」で増える
経営が苦しい会社ほど、必要なのは「新しいこと」ではなく、
「今あるものをもっと良くすること」です。
今あるものの精度を一段上げるほうが、圧倒的に利益が残ります。
選択と集中が、利益を生む
経営学者ドラッカーも、成果は機会への集中から生まれると説いています。
人も資金も限られている中小企業にとっては、何にでも手を出す会社より、
一点に集中した会社のほうが、利益率は高くなるのです。
新規事業は、利益が出てから始める
新規事業を始めるなら、次の条件が整ってからです。
本業が安定している
キャッシュが十分にある
人材にも余裕がある
つまり、本業が新規事業を育てるのであって、その逆ではありません。
「穴の開いたバケツ」に水を入れても意味がない
本業に課題を抱えたまま新規事業を始めるのは、
穴の開いたバケツに、さらに水を注ぐようなものです。
まずやるべきは、その穴を塞ぐこと。つまり、
利益率を上げる
顧客満足を高める
生産性を改善する
これが先決です。
まとめ:苦しい時こそ「足し算」ではなく「磨き込み経営」を
業績が苦しくなると、経営者はどうしても「新しいこと」をやりたくなります。
しかし、それは多くの場合、経営者自身の不安から生まれる行動です。
利益は、新しい事業から生まれるのではありません。
今ある強みを、とことん磨き込むことから生まれるのです。
中小企業の経営は、「足し算」ではなく「磨き込み経営」。
苦しい時こそ、外に新しい何かを求める前に、
足元にある強みをもう一段深めることに力を注いでみてください。
そこにこそ、利益を生み出す最短の道があります。


